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【知財アドベントカレンダー12月9日】PC操作のTips(フリーソフト「Keyhac」の紹介)

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はじめに

はじめまして。企業知財部で弁理士をしている【が】(@HaveFunMakeFuss)と申します。 主にツイッターで駄文を製造しています。 今回、ご縁あって知財アドベントカレンダー12月9日を担当させていただくことになりました。 がしかし、知財業務に直結するようなネタに関しては、他のそうそうたるメンバーを前に、恐れ多くとても語ることはできません。 そこで、私の知財歴(10年以上で)最も業務効率の改善に寄与してくれたフリーソフトについて紹介したいと思います。

言いたいことを一言でいうと…

フリーソフト「Keyhac」は最強です。 使い方次第で生産性が爆上がりします。 また、このソフトの使用が難しすぎる場合には、enthumbleというソフトがおすすめです。

さらに、上記内容がマニアック過ぎるかもしれないので、もう少し万人受けしそうなMulti Search & Multi Jumpについても紹介します。

知財屋が最も使うPCソフトとデバイスとは?

普通のビジネスマンであれば、ソフトならエクセル、デバイスならマウスの使用頻度が高くなると思います。 もちろん知財屋もそうです。しかしながら、特に特許系の知財屋は文章を書いてナンボの職業なので、キーボードによる文章作成がメインの方が多いと思います。 かくいう私がそうです。PC作業の際はそのほとんどの時間において、両手はキーボードの上にホームポジション状態でスタンバイされており、マウスに手を伸ばすのが凄く煩わしく感じます。

そういう知財屋の中には、いわゆる「赤へそ」のついたThinkPadキーボード を使っている人も多いかと思います。かくいう私がこのキーボードの愛用者です。

ThinkPadキーボードでも解決できない問題

ThinkPadキーボードは非常に優秀なのですがやはり弱点があります。ホームポジションを解除しないと「カーソルキー」を触れないのです。

MS-Wordで文章を作成している場合、カーソルを上下左右に移動したいシチュエーションは数多く存在し、その度に両手のホームポジションを解除するのは非効率極まりないという問題がありました。

Keyhacを使ってホームポジションのままカーソル移動

そこで、私が10年くらい愛用しているのが 「Keyhac」 というソフトです。 このソフトは、かなり自由なキーボードの入力設定のカスタマイズをユーザに提供してくれます。

その一つにユーザ任意のモディファイアキーの設定というものがあります。 標準では、Alt, Ctrl, Shift, Win の 4 つのモディファイアが存在していますが、 これらとは別に、ユーザモディファイアを最大4つまで定義することが出来ます。

で、このユーザ任意のモディファイアキーの設定を使って何をするか?

コイツらを活用するんですよ。

Fig01

殆どの人が使用することのない変換キー・無変換キーを新たにユーザモディファイアキーにして、以下のような設定をするんです。

キーバインド 操作内容
【変換キー】+【N】 【カーソル↓】
【変換キー】+【P】 【カーソル↑】
【変換キー】+【B】 【カーソル←】
【変換キー】+【F】 【カーソル→】
【無変換キー】+【N】 【PageDown】
【無変換キー】+【P】 【PageUp】
【無変換キー】+【B】 【Home】
【無変換キー】+【F】 【End】

なぜ「N」「P」{B」「F」か?理屈を言うと「N(Next)」「P(Previous)」「B(Before)」「F(Fowward)」です。がしかし、Linux使いなら既にご認識かと思いますが、これ、Emacsというエディタのキーバインドを模倣しています。

また、LinuxのVi系のカーソル移動で用いられる「J(↓)」「K(↑)」「H(←)」「L(→)」というものあります。これを選択しながらの(シフトキーを押したままの)カーソル移動にキーアサインしてやります。

キーバインド 操作内容
【変換キー】+【J】 シフトキーを押したままの【カーソル↓】(選択したまま↓キー)
【変換キー】+【K】 シフトキーを押したままの【カーソル↑】(選択したまま↑キー)
【変換キー】+【H】 シフトキーを押したままの【カーソル←】(選択したまま←キー)
【変換キー】+【L】 シフトキーを押したままの【カーソル→】(選択したまま→キー)
【無変換キー】+【J】 シフトキーを押したままの【PageDown】(選択したまま【PageDown】)
【無変換キー】+【K】 シフトキーを押したままの【PageUp】(選択したまま【PageUp】)
【無変換キー】+【H】 シフトキーを押したままの【Home】(選択したまま【PageUp】)
【無変換キー】+【L】 シフトキーを押したままの【End】(選択したまま【PageUp】)

上記のキーバインド(キーアサイン)を実現するためには、keyhacのconfig.pyに以下の記載をする必要があります。


def configure(keymap):

    # 変換キー(28)を仮想キー235に置き換えた上で、
    #当該仮想キー235をモディファイアキーUser0に設定する
    keymap.replaceKey( "(28)", 235 )
    keymap.defineModifier( 235, "User0" )

    # 無変換キー(29)を仮想キー236に置き換えた上で、
    #当該仮想キー236をモディファイアキーUser1に設定する
    keymap.replaceKey( "(29)", 236 )
    keymap.defineModifier( 236, "User1" )


    # どのウインドウにフォーカスがあっても効くキーマップ
    if 1:
        keymap_global = keymap.defineWindowKeymap()

        # 上下左右の移動
        keymap_global[ "U0-B" ] = "Left"
        keymap_global[ "U0-N" ] = "Down"
        keymap_global[ "U0-P" ] = "Up"
        keymap_global[ "U0-F" ] = "Right"
        #PageUp PageDown Home Down
        keymap_global[ "U1-B" ] = "Home"
        keymap_global[ "U1-N" ] = "PageDown"
        keymap_global[ "U1-P" ] = "PageUp"
        keymap_global[ "U1-F" ] = "End"        

        # 上下左右(選択)の移動
        keymap_global[ "U0-H" ] = "S-Left"
        keymap_global[ "U0-J" ] = "S-Down"
        keymap_global[ "U0-K" ] = "S-Up"
        keymap_global[ "U0-L" ] = "S-Right"
        #PageUp PageDown Home Down (with 選択)
        keymap_global[ "U1-H" ] = "S-Home"
        keymap_global[ "U1-J" ] = "S-Pagedown"
        keymap_global[ "U1-K" ] = "S-Pageup"
        keymap_global[ "U1-L" ] = "S-End"

慣れるまで、もしかしたら数週間かかるかもしれません。がしかし、一旦慣れると絶対に元には戻れません。キーボード操作だけでPC操作のすべてが完結すること、これを知らないと人生マジでそんでっせ。(なぜに上から目線)

上で言っていることがマニアックだと思っている人へ。enthumbleの紹介

個人的には、激推しの操作方法ですが、特にキーバインド設定にPythonスクリプトを使うところがマニアックすぎると感じる方も多いかと思います。

この場合、enthumbleというソフトがお奨めです。 私は使ったことはありませんが、上記のような設定が簡単にできるそうです。

それでもマニアックと思っておられる方へ(GoogleExtentionMulti Search & Multi Jumpについて)

ここまで勢いで書き、冷静に見返すとマニアックこの上ない話題になってしまいました。 なので、もう少し、知財業務を少し幸せにするTipsをさらに一点紹介します。

この仕事をなさっている方、ブラウザ上で公報を読むことが多いかと思います。 そして、特に明細書を読む際のあるあるとして「登場人物が多く、これを整理しながら読むのが大変」というものがあります。

そんなとき、私が使っているのがGoogleExtentionMulti Search & Multi Jumpです。

これは、ブラウザ内ワード検索を「複数のワードで同時に」できるようにするものです。 そして、この検索の際にワードごとにハイライト色を変更して表示することができます。

色という直感に訴える方法で、構成を切り分けて表現してもらえるので明細書理解の負担がすごく減ります。 ぜひお試しください。

(諸事情により現在PCでも表示が出来ないのですが、追ってデモ表示を紹介させて頂こうと思います。)