この週末で注文住宅が引き渡されました。満足している点も残念な点もいろいろありますが、覚えているうちにまとめておきます。自分の経験をもとに次の人間にあれやこれや助言するのが好きなんですよね。そのための資料ということで。
建てたところ
アイ工務店で建てました。今思えばヤマト住建でもよかったなと思います。
選んだ基準
ハウスメーカー選びの基準は基本的に性能で、特にC値を重要視しました。このC値というのは「気密性」を表す値なんですけど、要は数値が小さければ小さいほど家の壁や天井に空いてる穴の面積が少ないですよというやつです。どうしてこの数値を気にしているかというと、最近の家って全体的に気密性はよくなっていて、24時間換気システムの導入が必須になってるんですが、この24時間換気システムってC値が悪いとすこぶる換気効率が悪くなるんですよね。あと、やはり壁に穴が空いているということは、その分外気が直接家の中に入ってくるというわけなので、冷暖房効率も落ちますし、あとは花粉とかPM2.5とかそういうのも侵入してきます。換気システムって第3種と第1種の2種類あって、第3種が自然吸気、第1種が機械吸気なんですが、この違いは追々話すとして、第3種で効率的に喚起できるC値が0.4とか言われています。第1種はそれよりさらに低い数値が必要です。とはいえ、最低限換気システムとして効果を十分に発揮するにはC値1.0未満であれば問題ないとは言われています。で、なぜC値を重要視しているかという話に戻るんですが、そもそもC値以外の数値ってどこもそこそこいいんですよね。断熱材にどれだけいいものを使うとかとか、壁をどのくらい厚くするとか、窓を減らすとか、そういう差でしかないです。ただC値ってのはハウスメーカーによっては0.5以下は絶対に出せないみたいなところもあります。明確にこのメーカーだとこの数値は実現できないという基準があるので、ハウスメーカーを切り捨てる基準として都合が良かったのと、あとは花粉症なのでC値低くて室内に混入とか絶対に嫌だなというのが理由です。
換気システム
第3種・第1種換気システムという話をしましたが、大きな違いは先ほども述べたとおり吸気が自然が機械かです。排気に関してはどちらも機械で排気します。換気扇みたいなもんです。家の中の空気を外に吐き出します。で、それで生じた気圧差で自然に外気を取り込むのが自然吸気、機械で取り込むのが機械吸気です。自然吸気は外壁に穴が空いていてHEPAフィルターを1枚噛んで室内に吸気みたいなイメージで、機械吸気は外壁に穴が空いていてそこからの空気を機械で取り込んでなんやかんやして室内に送り込むみたいなイメージです。自然吸気の何が嫌かというと、フィルター1枚しか噛んでないのでさっきも言った花粉やらが不安なのと掃除がめんどくさそうですよね、言い忘れてましたが第3種の外気を取り込む穴は各部屋にあります。その点第1種はフィルターが各階1箇所なので掃除は楽...ではないんですが回数が少なくて済みます。あとはHEPAフィルター以外も選択できて電子フィルターとかも採用できます。さらには熱交換もできるので冷暖房効率も段違いです。ここまで読めばわかると思いますが我が家では第1種を選択しています。
検討したけど早々に消えた工務店
アイ工務店や一条工務店は工務店には入りません。あれはハウスメーカーです。工務店は保証が弱かったので候補から消えていきました。理由は本当にそれくらいです。性能面は下手したら一条工務店と同等かそれ以上みたいなところもザラにありました。工務店は設計とあと多分家本体とかはやってくれるんですが、それ以外の「基礎」「壁」「内装」みたいなところは業者が変わることが多くて、当たり外れが激しいようなので、保証が弱いのも相まって選択できませんでした。もし何回か失敗しても建て替えが可能なくらい資金力があれば、超高性能でこだわり抜いた個性あふれる家を工務店で建てていると思います。
候補に残らなかった大手メーカー
名の知れたメーカーは割と早々に候補から消えました。積水ハウスとか住友林業とか...。理由は主に2つで「高すぎ」か「性能悪すぎ」もしくはその両方です。ご察しの通り僕は花粉症なので、例えば住友林業の「自然を取り込みつつ快適な家づくり」「窓を開けて換気を推奨」みたいな思想が1ミリも肌に合わなかったです。C値も1.0くらいみたいな話でそれ以降何を喋ってたか全然覚えてないです。ただ、大手メーカーはめちゃくちゃオシャンティだったので、「性能よりもデザイン!」って人にはめちゃくちゃ合ってると思います。
最終候補には残らなかったけど一番印象に残ったメーカー
ライフデザインカバヤのGRANZ。これめちゃくちゃ良かったです。予算の都合で諦めましたがめちゃくちゃいいです。本当に住みやすくて快適な家を追求するとここに行き着くんじゃないかなというくらい。何がそんなに良かったかというと断熱材のセルロースファイバー。「断熱性能」「調湿性能」「防音性能」の三拍子揃ってる断熱材で、壁の厚さもめちゃくちゃ厚いので超性能です。あとは大体どこのメーカーも換気システムは第3種で十分と言う中、ここだけは第1種の電子フィルターを採用すべき理由込みで強く勧めてくるくらい住みやすさを追求しています。もちろん数値も文句なしでいいです。値段は本当にバカがつくほど高いんですが、予算に余裕があるなら検討候補に入れることを強くお勧めしておきます。あとはカバヤって母体がお菓子メーカーなので、ことあるごとにお菓子くれるのも地味に嬉しい。
絶対に避けるべき営業マン
ハウスメーカーというよりは担当の営業マンの問題だと思ったのでそういう見出しで話します。これ、絶対に失敗するって断言できるんですが、「ハウスメーカーに悩んでいて、現在複数社検討しています」という話をしているにも関わらず、ゴリ押しの営業と契約の圧をかけてくる営業マンはすぐに切り捨ててください。特に土地もハウスメーカー決めてから一緒に考えてもらおうとしている場合、ハウスメーカーって条件付きのいい立地の土地を持ってたりするので、それをちらつかせて「ここすごくいい土地なんですけど、来週まで残ってるかわからないです。今契約していただけたらこの土地押さえておけるんですが...」なんてことを言います。土地、めちゃくちゃ大事です。でも間違いなく家の方がもっと大事なので土地に惑わされないでください。土地は意外とひょっこりいい出会いがあります、大丈夫。
おすすめの営業マン
いい営業マンを見極めるのは正直めちゃくちゃ難しいです。話し方とか人柄とかで判断できませんし、一度ミスがあったからといってダメな営業マンとは限らないし、ミスがなくても後からめちゃくちゃ後悔する営業マンとかもいます。ただ、1つだけ明確にお勧めできる条件があります。それは「より社内の地位の高い営業マン」です。例えば「店長」だったり「所長」だったり「社長」だったりみたいな。これ、なんでおすすめかというと、単純に承認フローがその分減るからですね。承認フローが減るとどういうメリットがあるかというと、営業のミスがこちらの得になる場合があるんですよね。例えば我が家の場合、担当営業マンは展示場の店長にお願いしていたんですが、打ち合わせ中にロフト増設の金額計算を間違えてたんですよね。必要な金額の1/3くらいの金額を提示してきたので、こちらとしては「え、安!追加します!」となります。後から計算が間違えていて、実際は3倍の金額がかかることが判明するんですが、店長なので割と融通が効いて、「自分のミスなのでお客様には当初の値段のままの契約で大丈夫です」となりました。これ、例えば若くて経験の浅い平社員だと通らないですよね。店長クラスに「お客さんに誠意を込めて謝ってこい」で終わりです。我が家の担当営業マン、お世辞にも頼りになったとは言えないんですが、おかげで随分お得に家を建てさせてもらったのと、ミスした後のリカバーは文句なしの完璧で困ってることもないです。
良かったことと後悔したこと
家に関してこの手の話は人によりけりなので、あんまり参考にならないと思うんですが、より再現性の高い後悔点でいうと、アイ工務店の担当営業は元々C値0.5以下を保証するって言ってくれてたんですよね。本来会社としては保証してないんですが、基本的に0.5以上になることはないというのがより正確な内容だったと思います。でも実際に蓋を開けてみると0.66だったんですよね。「保証」の言質は取ってたので、それを掲げて立て直しの要求とかもできなくななかったお思うんですが、面倒なのでまあいっかでちょっとモヤモヤしたまま許容することにしました。ハウスメーカー選びの基準で書いてるように元々C値を重要視していて、0.5以下が保証できるっていうから契約したのに...という感じです。それもあって性能値に定評があってコスパのいいヤマト住建の名前が挙がっているという感じですね。あとは忘れがちなのが階段の勾配。ちゃんと緩やかな階段になるように気をつけた方がいいというのと、階段のぼってすぐに部屋みたいな間取りの時に、本当に階段との境界にすぐ扉みたいな部屋はちょっと危ないです。良かったことも一応書いておくと、窓は迷ったら無し、開かないと困る場合以外は全部FIX窓という基準を守って本当に良かったなというのと、ニッチや飾り棚の採用を必要最小限にして、もしかしたらみたいな場所は下地を入れてもらうだけにしておくっていうのも徹底して良かったなと思っています。まぁでも人によりけりかな。
予算の話
外構予算、大体どこも150万円くらいで見積もってくるんですけど、あの最低でも300万は見積もっておいた方がいいです。で、これは実際に外構に300万円かけるつもりがなくても見積もっておいた方がよくて、なぜかっていうと住宅ローンの借入金額に家電の予算って組み込めないんですよ。で、外構を少し高めに見積もっておくと、浮いた額を家電にこっそり回せるので必須レベルでお勧めです。僕の場合は見積もりを取る度に営業マンに言われる「外構は150万円あれば必要十分な設備は整いますので」を信じてしまって今とてもお財布がしんどい感じになってます。住宅ローンは可能な限り過剰に借りておけ。
家づくり学校
岡山には「家づくり学校」なるものが存在していて、無料で利用できて自分たちの提示する条件に合ったハウスメーカーや工務店を紹介してもらえたりするんですが、これは利用し得なので、絶対に利用してください。「家づくり学校」って全国に展開されてるのかな。自分はアイ工務店で契約したので、それを例に何が変わるのかを書いておくんですが、通常アイ工務店って気密測定ってのをしてくれないんですが、家づくり学校を経由することで無料で気密測定をしてもらえることになりました。まぁその結果がアレだったのでなんとも言えないんですが...。なんにせよ無料で利用できて、保証や追加のサービスを受けられるので利用するのが間違いないかなと思います。デメリットとしては、何度か通うことになるので単純に時間が取られるというのと、利用者として写真を撮られてインスタか何かに掲載されるみたいなので、ちょっと恥ずかしいってくらいでしょうか。一応行きたくなければ途中で不登校になっても特にお咎めは無しで、写真も拒否権はありました。
総括
なんやかんやいって概ね引き渡された家に満足してます。100点満点中86点といったところでしょうか。ただ住んでいくうちに色々と問題点は浮上してくると思うので、最終的には70点くらいのお家になるのかなと予想してます。まぁそれでも全然許容範囲内です。自分の中でちゃんと家に求める優先事項と譲れない基準を設けて、あとは家についてちゃんと勉強しながら家づくりしていけば、概ね満足できる結果が得られるんじゃないかなと思います。
色々覚えているうちにアドバイスして欲しいって方がもしいればアドバイスします。そういうの好きなので。あともし岡山でアイ工務店で家を建てることを考えている方がいれば、我が家の担当になった展示場の店長営業マンを紹介できますのでお声がけください。紹介した側とされた側両方に特典があるみたいです。参考までに我が家の担当営業マンは立場上忙しいみたいで、ちょいちょいミスはするんですが、それによってこちらが不利になるようなことはなくて、むしろミスをするたびにお得になっていきます。ただ、ミスに気づく必要があるので、打ち合わせごとの議事録をちゃんと取ったり、注意深く話を聞く必要があり、それがやや負担だったりリスクだったりします。その辺を踏まえた上でそれでも紹介して欲しいとなった場合はお声がけください。Twitterで声かけてもらうのが一番反応できると思います。